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暑かった夏の出来事もそろそろ遠い記憶として箪笥の中にしまいこまれる季節となった。
夜になると虫たちの奏でる音色が、我が家の狭い庭にも響きわたる。「あのき−き−鳴くのがこおろぎで、リンリン聞こえるのがすずむしで」(心の中でmaybeと呟きながら)などと小学生の子供たちに解説しながら湯船につかるのもこ季節ならではの親子のふれ合いだ。そんな秋も本番をむかえようとしている週末、「埠頭を渡る秋の風」を味わいたくなり港に出かけてみた。夏の潮風もそれはそれは情熱的でトキメキを感じさせてくれるけれど湿気の落ちたこの時期の埠頭の匂いも好きだ。休日のせいか護岸から糸を垂らす釣り人がけっこういる。のどかな光景に満足しつつ、「ひねもす のたり のたりかな」などとひとり呟きながらすぐ側の公園に入ってみた。
そこはちゃんと表札もかけられ、すがたかたちもよくある「公園」である。しかし、その状況たるや「公園」ではなく「荒園」と呼ぶほうが正しいくらいの荒れようだ。ゴミは捨ててあるし、草はのび放題、とても憩いの場と呼ぶべき所とはかけ離れている。たしかに、周囲に民家はなくあるのは倉庫と工場だけである。昼間でも訪れる人はすくないだろうし、夜ともなるとほとんど人気は途絶え、犯罪の匂いがぷんぷん漂う五つ星級の危険地帯のイメージをかもしだしているにちがいない。「誰も訪れない忘れられた公園のため、荒園になってしまいましたよ。」と当の本人は嘆いていることだろう。周りを眺めているうちにまたまた妙な好奇心がむくむくと頭をあらわしこのかわいそうな彼の生い立ちを調べてみることにした。
昭和47年生まれの彼は近隣公園という種族に属しているようだ。この種族の性質は、主として近隣に居住する者の利用に供されることを使命とし、1近隣住区(近隣住区とはおおむね1kuの居住区)あたり一カ所を誘致距離500mの範囲で一カ所あたり面積2haを標準として生息することを得意としている。しかし、彼の広さは0.36haほどしかなくて2haには遠く及ばない。大きさだけでいうなら、彼の種族の親戚筋にあたる街区公園に近いのかもしれない。性格をすべて書くには、誌面が足りないのでまたの機会にするが、地域住民のために存在していたいという生まれた時からの使命はきっと忘れていないはずである。生まれたばかりの頃には活躍の場が、そして数々の栄光があったに違いない。(でなけりゃ、あそこに彼は生まれていないはずだ。)個人的にはもう一度彼に再登板の機会を与えてあげたい気持ちでいっぱである。海沿いを工場群に占領されている徳山湾内で気軽に海の匂いに浸れる場所は限られている。ここはその数少ない場所のひとつだとおもうのだが…。かってきままな荒園再生計画など練ってみようかなどとついつい感じてしまった秋の一日だった。
(ご存じ無い方のためにその「荒園」の名称をちゃんと書きましょう。その名は「港公園」。徳山駅西側の山陽本線のガード下をくぐり抜け海に向かってまっすぐつきあたった所にその「港荒園」はあります。しかし、公園って何処でもなぜブランコやすべりだいがあるんでしょう。まじめに再生、再利用を考えなくては....。)
つづく
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