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  日刊新周南に連載中のリレートーク ( 年 月掲載)

馬耳周南風

    ヨーロッパ建築レポート(その2)

 今回はドイツの環境建築に関する最新事情についてのレポートである。
視察初日、朝8時にホテルを出発し、港湾部の再開発を視察。そこで、このあと見学する建物の設計者であるインゲンホーベン氏の事務所を訪れた。若干40歳ということだが、国内外の大きな仕事をいくつも手がけるドイツ建築家のホープである。ここで、プロジェクトの説明を受けたあと、実際の建物の見学に向かった。

 デュッセルドルフからアウトバーンを北上し、エッセンという工業都市に向かう。ガイドの人からの説明では、ドイツでは樹木がとても大事にされていて、一本の木が枯れてしまったら、新たに3本植えなければいけないというルールがあるそうだ。個人の敷地内でも例外はないそうで、自然や環境に対する考え方や、ルールに対する市民の理解力に改めて感心させられる。私の個人的な感想だが、ドイツ民族には時に狂信的な部分を感じることもあるが、利害を超えてともに生きることを努力し、実行するところは我々も見習うべきであろう。

 さて、エッセン市内に入ってお目当てのRWE本社ビル(ドイツ大手の電力会社)に到着する。目の前に全面ガラス貼りの円筒形のタワーがそびえ立っている。第一印象はかなりのハイテク建築といった感じである。中に入って、ロビー、執務室、最上階の重役会議室などを案内してもらう。説明によると様々な環境対策を施しているそうだ。ビルの形を円筒形にしたのは四角い形より表面積を小さくするためで、それによって外部からの熱負荷を抑えられるというのだ。また、ガラス張りの外壁は、実は二重になっていて、ガラスとガラスの間に数十センチ空気層が取ってある。この空気層はビルの最上階と最下階で外部とつながっており、高層ビルでありながら窓を開けて自然換気ができる。さらに、日除けのブラインドもついていて、これが外壁の外側に設置されている。確かにブラインドは室内より外につける方が日除けの効果は高い。しかし、コストや耐久性、汚れなどいろいろ問題もあり、日本ではあまり定着していない。その他、空調も床から吹き出すしくみになっていて、天井からの空調に比べてロスが少ない。

 このように、一見モダンなハイテク建築に見えるが、そのハイテク技術は自然と共生していくために使われていることがわかった。ここに、アメリカ的エネルギー消費型の高層ビルとは違うドイツの思想を読み取ることができる。今回見学したこの建物は、ヒステリックに現代社会を否定して歴史に逆行するのではなく、人間の持ち得る知性によって、前向きに自然と共生する方法を模索した好例といえるであろう。

                                      石丸和広


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