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  日刊新周南に連載中のリレートーク ( 年 月掲載)

馬耳周南風

    ヨーロッパ建築レポート(その1)

 前回に引き続き建築視察をレポートする。
 視察はドイツのデュッセルドルフからスタートした。このまちは人口約60万人の比較的大きなまちで、ヨーロッパにおける日本企業の前線基地になっているまちでもある。初日は早起きしてホテル近くの中央駅に行ってみた。早朝から忙しく通勤する人たちの雑踏の中を歩きながら、日本にはないエッセンスをいろいろ見てまわった。デュッセルドルフは、ハンブルクからミュンヘンへ続く主要幹線上に位置しており電車の本数も多い。そのため電車のホームは高架になっていて、コンコースは地上レベルにある。コンコースの両側には、カフェやコンビニ、本屋などが並び、どの店もおしゃれにデザインされていて見ているだけでも楽しい。そして、このコンコースは両端がまちに連続して自由に通り抜けができる。つまり、単なる駅としての機能ではなく、まちにつながる通りの一部になっているのだ。これは、ビルとまちが断絶してしまっている徳山駅とはまちの連続性という意味で大きく違う。徳山の駅ビルが活性化しない一因にこのような建築的なからくりがあることを改めて考えるべきだろう。

 さて、朝の雑踏の中、一人浮いた存在でウロウロしている怪しいアジア人は、コンコースを抜けて駅の表側に出てきた。このまま通りはまちにつながっているのだが、うれしいことに駅とまちを結ぶ場所が大きな広場になっているのだ。これがなんといってもゆとりがあってとても気持ちがいい。ここは駅前なので路面電車やタクシーの乗り場もあるが、歩く人を大事にするため、タクシー乗り場は脇に配置され、停留所は広場と段差がなくしてある。些細なことだが目的がはっきりしているため、すべてが理にかなったつくり方をしている。日本人とドイツ人は似たところが多いといわれるが、合理性において決定的な差があると感じてしまう。この理性の落差を補わないことには、貧弱な日本の街並みはいつまでたっても変わらない。

 話は変わるが、2年前にわがまちづくりチームで徳山駅改善の提案をした。特にこだわったのは、寿命を考えてまだ使用可能な駅ビルを残すこと、そして、駅前広場を歩行者中心に整備し直すことである。広場の真中に直径50m、地下10mの大きな穴をあけ、水と緑の森をつくる。そしてそのまわりにタクシーやバスの乗り場を整備して、地上は歩く人間に開放しようというものだ。商店街が衰退する中で、市民が出会い、集まり、くつろぐ場所が街中に減少している今だからこそ、まちの中心にこんな拠り所が必要ではないかと考えたのだ。それから2年後、デュッセルドルフの駅前に立って、改めて自分たちの考えが間違っていないことを確信した。ただ、提案した発表会には市長もいらっしゃったのだが、多忙ゆえか、我々の提案の意味がよく理解されなかったようだ。もちろん、お金がかかるし、各方面の利害の調整が困難だが、何よりも大事なのはまちを良くしたいという情熱ではないだろうか。機能面だけでなくまちの魅力づくりにも、是非チャレンジして頂きたいと生意気ながら思う次第である。

                                      石丸和広


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